房総地区209系の成田空港乗り入れ用ホームドア対応工事

取材日 2020年12月18日


2020年3月に稼働が開始されたJR成田空港駅・空港第2ビル駅の昇降式ホーム柵は、無線式ホームドア連携システムにより車両ドアと連携した制御が行われています。従来よりも低コスト・短期間で整備可能なこの方式は、JR東日本としては総武快速線新小岩駅と相鉄・JR直通線羽沢横浜国大駅(JR側の発着時のみ)で実績があるものの、成田空港両駅に導入されたシステムはこれまでと違い、隣接するホームとの混信を防ぐために使用されていたLF帯無線を廃止し、UHF帯無線のみで制御することを可能とした新方式となりました。

詳しくは以下の各記事で紹介していますのでご参照ください。

成田空港乗り入れ列車に使用される形式には、昇降式ホーム柵の稼働開始までに無線連携システムの装置を搭載する必要がありました。E217系は新小岩駅でのホームドア整備に伴い改造済みでしたが、特急「成田エクスプレス」のE259系は全編成で改造工事が実施されました。

そして成田空港にはもう1形式、房総地区の普通列車に使用される幕張車両センター所属209系2000・2100番台も1日3往復のみ乗り入れています。この乗り入れ運用はいずれも4両編成を2本繋げた8両編成での運転のため、2019年5月頃より同形式のうち4両固定編成を対象にホームドア対応工事が順次開始されます。


ホームドアに隠れない窓上へ追加された非常用ドアコックの位置を示す▼印。


乗務員扉には車掌がホーム床面の停止位置限界表示と照らし合わせるための青▼印が追加されました。左側の6両固定編成にはありません。

しかし、空港乗り入れ運用は僅かしかないので全編成に改造を施す必要は無いと判断されたようで、昇降式ホーム柵が稼働開始しても改造工事の行われていない編成が多く残ることとなりました。よって現在は空港乗り入れ運用がホームドア対応編成限定の運用とされています。

なお、改造工事の行われていない編成にも、非常用ドアコックの位置を示す表記・乗務員扉の停止位置確認用表記の追加と後述の各種機器を取り付ける架台の設置は行われており、いざとなればすぐに機器を搭載してホームドア対応編成に変身できる準備工事状態となっています。

非対応編成も関連機器を搭載する準備はできています。写真は「ホームドア連携スイッチ」の取付台。


ホームドア対応工事で乗務員室に新設された機器

ホームドア対応済み編成にはそのことを記したテプラが運転台モニタ画面の下に貼付されています。

・UHF受信部

ドア開閉情報などホームドア連携を行うための情報を地上側と送受信する「ホームドアUHF送受信部」は運転席のほぼ真上に搭載されました。

・FD表示器

ホームドアの連携モードや開閉状態、定位置停止などの情報を表示する「FD表示器」は運転台の左側壁面に設けられました。


・ホームドア連携スイッチ

強制的に連携モードと分離モードを切り替える「ホームドア連携スイッチ」は運転台ユニット助士側上面に設置されました。

・ホームドア分離出発スイッチ

故障等で地上側から「ホームドア全閉」情報が送信されず発車できない場合などに使用する「ホームドア分離出発スイッチ」は運転台右壁面に設置されました。

・ホームドア分離開扉スイッチ

地上側から「ホームドア全開」情報が送信されない場合に車両ドアのみ開扉できる「ホームドア分離開扉スイッチ」は3/4開スイッチの左横に設置されました。

・定位置表示灯

運転士向けのFD表示器に対して、車掌向けにはドアを開閉可能である事を知らせる「定位置」表示灯がドアスイッチ上方に設置されています。


・継電器部

装置の中で特に大きい継電器部は乗務員室中央の背面に搭載されました。これに伴い助手席も改良されています。


この他に、運転席の背後付近に電源部とシステムの分電盤、助士側乗務員扉の上部に記録部が搭載されています。



前述の通りこの改造工事は空港乗り入れ運用を持つ4両固定編成が対象で、空港乗り入れ運用が無い6両固定編成は対象外となり、非常用ドアコック表記の追加も行われていませんでした。

しかしつい最近になって、6両編成にも無線連携装置を搭載した編成が現れたそうです。少なくとも今後1~2年に幕張区209系の運用範囲で新たにホームドア整備予定の駅があるとは考えにくいので、今後のダイヤ改正で209系空港乗り入れ運用に6両編成が加わることを示唆しているのかもしれません。



参考資料

根本 卓、千葉 正志、布施 毅、横山 啓之、笠井 貴之、山上 正規「総武快速線新小岩駅ホームドア連携システム導入に向けた開発と今後の展開」『鉄道サイバネ・シンポジウム論文集』Vol.56、日本鉄道サイバネティクス協議会、2019年


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