阪神電気鉄道 神戸三宮駅1・3番線のホームドア

阪神電気鉄道の神戸三宮駅では、1番線ホーム(大阪梅田・大阪難波方面)と3番線ホーム(高速神戸・山陽姫路方面)に同社初となる可動式ホーム柵(ホームドア)が設置され、2020年2月11日に稼動が開始されました。

阪神電鉄には相互直通運転を行う山陽電気鉄道および近畿日本鉄道の車両も乗り入れており、阪神・山陽の車両(長さ約19m・片側3ドア)と近鉄の車両(長さ約21m・片側4ドア)では規格が大きく異なるため、ホームドア整備を阻む要因となっています。しかし同駅1・3番線に近鉄車は通常入線しないため、阪神車・山陽車の規格に合わせた一般的な腰高式ホームドアが設置されました。


1 ホームドアの概要

採用されたのは扉部が透過型の二重引き戸式タイプです。外観の特徴からメーカーは京三製作所と推測されます。

冒頭で述べたとおり、近鉄車の入線は考慮しておらず、阪神車・山陽車の規格(長さ約19m・片側3ドア)に合わせた構造となってますが、実際には阪神車と山陽車の中でも車種によって車体長やドアピッチに若干の違いがあることから、推定幅3,600mmの大開口でドア位置のズレに対応しています。

ただし、1番線の一部範囲は二重引き戸タイプではなく従来型の一重引き戸タイプが採用されています(詳しくは後述)。


車両ドア間は左右の扉が互い違いに収納される戸袋一体型、車両連結部は戸袋分割型です。車両連結部の筐体間およびホーム両端には非常脱出口兼乗務員出入り用の開き戸が設けられています。


各開口には3Dセンサと非常開ボタンが設けられており、各編成両数の前部・後部となる箇所には、ホームドアの開閉状態や故障を示すランプも内蔵されています。

同駅には2012年頃から、ホームからの転落防止対策及び列車との接触防止対策として、床面に埋め込まれたLEDが列車の接近や発車に合わせて点滅・点灯する「スレッドライン」が導入されていますが、ホームドア設置後も引き続き運用されています。


運転士向け停止位置マーカー(中央)と次項で紹介する定位置停止検知センサのBOX(右下)。

1・3番線ともに、最も高速神戸寄りの筐体には駅係員用操作盤が内蔵されています。

列車の停止位置許容範囲は推定±700mmほどで、TASC(定位置停止装置)は導入されていません。阪神車と山陽車で許容幅に差は無いようです。ちなみに、グループ企業でもある阪急電鉄神戸三宮駅のホームドアは、阪急車とドアピッチが合わない山陽車の許容幅が制限されています。


1番線大阪梅田方の一重引き戸タイプ

1番線(大阪梅田・大阪難波方面)の前から1・2両目となる範囲(一部除く)には、二重引き戸タイプではなく従来型の一重引き戸タイプが設置されており、開口幅も推定3,200mm程度となっています。

なぜ一部範囲のみ一重引き戸タイプが採用されたのかは明らかになっていませんが、可能性として考えられる理由の一つは "この範囲はドア位置のズレが少ないため" です。


例えば、同じ6両編成でも山陽5000系は阪神車より全長が約500mm長いため、先頭をピッタリ合わせて停車したとしても、後方の車両になるにつれてドア位置のズレが大きくなります。このことから、先頭に近くズレが小さい1・2両目は大開口とする必要が無かったのだと思われます。

一方の4番線(高速神戸・山陽姫路方面)は全ての開口が二重引き戸ですが、これは1番線とは逆に4・3両編成の列車がホーム前寄りに停車するため、その範囲に停車する車種が多い=ドア位置のズレが大きいのではないかと推測しています。


2 ホームドアの開閉方式

同駅のホームドア開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知・両数検知)
  • 閉扉:車掌手動操作

開扉は各種センサが列車の定位置停止と編成両数を検知することによって自動で行われ、一方の閉扉は車掌が直接操作盤のボタンを押します。これは阪急電鉄のホームドアと概ね同じ方式です。


2.1 各種機器の概要

各種機器の正式な名称は不明なので、当記事では阪急電鉄のホームドアシステムについて記載された文献に基づいた名称を使用しています。


(1)定位置停止検知センサ

測域センサ(2D-LiDER)が車両前面を測定することで列車の定位置停止を検知します。全ての編成両数が前合わせで停止する3番線は前方1箇所に、後ろ合わせで停止する1番線は各編成両数の停止位置にそれぞれ設置されています。


(2)両数判定センサ

1・3番線に発着する列車の編成両数は6両・4両・3両の3種類あるため、両数判定センサによってその判別を行います。上の写真は1番線の後方に設けられたセンサで、例えば6両編成の列車が誤って4両の停止位置に停止したような場合は、このセンサが車両を検知することでホームドアの自動開扉を防ぎます。


(3)ホームドア表示灯

1933年の駅開業時そのままの形を残す高い天井から吊り下げられているホームドア表示灯。


乗務員・駅係員に対してホームドアの状態を表示するLED表示灯がホーム中央付近の天井から吊り下げられています。このような表示灯は記号やマークで内容を表すことが多いですが、同駅では全て漢字一文字を使って表示されているのが特徴です。

列車着発時の表示推移は以下の通りです。

  1. 列車の定位置停止を検知すると左側に青文字で「止」が表示
  2. ホームドアが自動開扉すると右側に赤文字で「開」が表示
  3. 車掌の操作でホームドアが全閉すると右側に緑文字「閉」が表示
  4. 列車が動き出すと左右ともに消灯


2.2 各種センサ配置図

※駅の構造上、ホームドアを線路側から観察することが難しく、各種センサの配置を目視で把握しきれなかった部分があるため、上図の一部には推測も含まれています。



同駅は2007年から2013年にかけて大規模な改良工事が行われ、バリアフリー面などの問題は改善されたものの、依然としてホーム幅員が狭く危険な箇所も残っていたため、ホームドア設置によって安全性が大幅に向上しました。

しかし、残る頭端ホームの2番線には規格が大きく異なる近鉄車も発着するため、通常のホームドアでは対応することができません。そこで、JR西日本の主要駅を中心に導入されている昇降ロープ式ホーム柵が2022年度春頃に設置される予定です。

また、同駅のホームドア整備によって、三宮に乗り入れる5社局(JR西日本・阪急・阪神・市営地下鉄・ポートライナー)全ての駅で、いずれかのホームにホームドアが整備されたことになりました。



出典・参考文献


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