阪急電鉄 神戸三宮駅のホームドア

阪急電鉄の神戸三宮駅では、2020年8月より可動式ホーム柵(以下:ホームドア)の設置が開始され、2021年2月までに4つのホーム全てで整備が完了しています。阪急のホームドア設置駅は十三駅に次いで2番目、神戸本線系統の駅としては初の設置で、全ホームでの整備完了も阪急では初となりした。

各ホームごとの筐体設置日・稼働開始日は以下の通りです。

  • 1番ホーム:2020年11月13日終電後設置・2020年12月26日初電より稼働
  • 2番ホーム:2020年8月28日終電後設置・2020年10月10日初電より稼働
  • 3番ホーム:2020年9月18日終電後設置・2020年11月7日初電より稼働 
  • 4番ホーム:2021年1月8日終電後設置・2021年2月20日初電より稼働


1 ホームドアの概要

同駅のホームドアは十三駅と同じく京三製作所製ですが、従来品と同様のスペックを備えながら質量を約40%削減した新型の製品「軽量可動式ホーム柵」が採用されています。筐体厚みも十三駅と比較して100mm薄型化されており、ホーム幅員の確保に貢献しています。

筐体の帯は神戸本線のラインカラーである青色です。神戸本線の列車は最大10両編成で運行されていますが、下り方面は全て8両編成以下のため、1番ホームは8両編成分、その他のホームは10両編成分が設置されています。


筐体上面の笠木はホーム側の傾斜が大きいため点字案内を確認しやすくなっています。また同駅は神戸高速鉄道を通じて乗り入れる山陽電気鉄道の列車(以下:山陽電車)の始終着駅でもあるため、各開口左側の乗車位置ステッカーは1番ホームに限り山陽電車3・4両編成の案内もされています。なお、降車専用の2番ホームに乗車位置ステッカーはありません。

扉の上下縁が尖っているのも特徴で、これはこの部分が開閉方向へのスライドをガイドするV溝ローラのレールを兼ねているためだと思われます(技術情報「2020-011673号 可動式ホーム柵」を参照)。


公式発表によると開口幅は十三駅と同等の約3.2mで、車種によって僅かに異なるドア位置に対応するとともに、TASC(定位置停止装置)等の運転支援装置は未整備のため、停止位置許容範囲に余裕を持たせています。各号線1・3番ドアは車両連結部側の戸袋スペースが短いためか扉の長さが左右非対称です。


ただし、山陽電車は車両のドアピッチが阪急車と異なる関係で許容範囲が狭くなっており、特に6000系は車体長さ自体が阪急の車両規格と異なるために、推定±400mm程度と大幅に制限されています。また、山陽電車の最前部となる筐体にはホーム内側へのセットバックが無いため、運転士は乗務員扉からホームに出入りできなくなりました(乗務員室から客室を通る必要がある)。


車両ドア間は左右の扉が互い違いに収納される戸袋一体型、車両連結部は戸袋分割型です。十三駅の筐体には「戸袋スライド式非常脱出口」が備わっていますが、同駅は車両連結部も含めて非常脱出口は設けられませんでした。

各開口には3Dセンサと非常開ボタンが設けられています。線路側に配線ダクトなどが露出している点が特徴です。


前述の通り非常脱出口はありませんが、ホーム両端には乗務員出入用の開き戸が設けられています。


2 ホームドアの開閉方式

同駅のホームドア開閉方式は基本的に以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知・両数判定)
  • 閉扉:車掌手動操作

基本のシステムは十三駅と同じく、列車の定位置停止と編成両数を検知するとホームドアは自動開扉します。しかし、列車の運行系統や車種によって手動で開扉操作を行う場合もあることが確認できました。

本項では基本的なシステムについて紹介し、特殊な取り扱いとなる事例は後述します。


2.1 各種機器の概要

(1)定位置停止検知センサ

測域センサ(2D-LiDER)が車両前面を測定することで列車の定位置停止を検知します。


(2)両数判定センサ

車両の有無を検知する両数判定センサによってその判別を行います。ただし詳しくは後述しますが、山陽電車3・4両編成判定用のセンサは設けられていません。


また、4番ホーム大阪梅田方には後述する増結扱いに関連すると思われる同センサがありました。

(3)車掌用操作盤

車掌がホームドア閉扉操作を行う操作盤は十三駅と同じく光電センサ式で、「ホーム柵 閉」「ホーム柵 開」と書かれている部分に手をかざすだけで閉扉および再開扉の操作が可能です。なお、後述する自動開扉に対応していない列車の場合は、光電センサ操作盤の左下にある各編成両数ごとの開扉ボタンを扱います。
開扉中は下方にあるLED表示器に列車の編成両数が表示されます。

(4)乗務員表示灯

乗務員表示灯は十三駅と同じく運転士用と車掌用でそれぞれ表示内容が異なるものが設置されています。詳しい表示推移などは十三駅の記事をご参照ください。

(5)CTVモニタ

ホーム上には車掌用のフルハイビジョン方式CTVモニタが設けられています。CTV設置に伴い従来の駅係員が操作する戸閉合図器の使用は廃止されましたが、3・4番ホームの10両編成後部にはCTVが無いため、朝ラッシュ時はホーム監視員が白旗による乗降終了合図を出しています。


同駅のホームドアには十三駅と同じく、各開口の3Dセンサが旅客の乗降を検知すると車掌に対して表示灯の点滅とアラーム音で知らせる機能があり、列車の出発進路が開通するまでは機能しない仕組みになっているようです。


2.2 各種センサ配置図

各ホームの定位置停止検知センサ・両数判定センサの設置場所は上図の通りでした。

山陽電車も必ず定位置停止検知センサのある場所に後部を合わせるため、停止位置がかなり偏っています。


3 朝ラッシュ特急増結時のホームドア開閉動作

神戸本線の現行ダイヤでは、平日朝の新開地駅発上り特急列車のうち3本が神戸三宮駅で梅田方に2両を増結し、終点の大阪梅田駅まで10両編成で運行します。この増結作業は同駅4番ホームのホームドア稼働開始後も継続されているため、全国的にも珍しいホームドア設置駅での連結作業が行われる事例となっています。連結作業時の具体的な取り扱いなどは別記事にまとめています。


4 山陽電車発着時の取り扱い

基本的には自動開扉する同駅のホームドアですが、山陽電車の到着時には自動開扉システムが対応していません。両数判定センサも3両編成と4両編成を判別できる位置に設置されていないため、車掌が直接3両または4両の開扉ボタンを操作しています。つまり車掌が3両と4両を間違えて開けてしまうヒューマンエラーも懸念されますが、何らかのフェールセーフ的システムがあるのかは不明です。


5 その他の特殊な取り扱い

5.1 4番ホームに10両編成が大阪梅田方から入線した場合

平日朝ラッシュ時に同駅始発で運行される通勤特急は、同駅まで回送列車として送り込まれ、大阪梅田方から直接4番ホームに入線します。この場合はホームドアが自動開扉せず、車掌が直接ボタン操作で開扉していました。

5.2 中線ホームに新開地方から入線した場合

同駅の中線2・3番ホームは主に同駅折り返し列車が使用しており、列車が停止するとの両側ホームのホームドアが自動開扉します。一方、平日朝ラッシュ時の通勤急行など新開地方面からの上り列車が中線ホームに入線した場合、降車専用2番ホーム側のホームドアは自動開扉しません。これは継電連動装置の情報をもとに制御されているのだと思われます。



基本的には十三駅と同じ運用方式を採りながら、特殊な取り扱いが必要な列車にはシステムとして自動開扉に対応する場合・しない場合に分けられたことが同駅での特徴となりました。特に山陽電車の乗務員にとっては停止位置の制約・ホームドア手動開扉などで負担が大きいのではと感じます。

同駅に続いて、隣の春日野道駅でも2022年度末までにホームドアを整備することが発表されています。春日野道駅はホーム幅員が非常に狭いため、同駅と同じく薄型軽量のホームドアが採用されることになるのでしょうか。



出典・参考文献


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